第3回国連防災会議への東北大学の取り組み | Tohoku University DRR Actions

国連防災会議

ID:180 ポスター展示

日程
2015年3月14(土)~18日(水)
会場
東京エレクトロンホール宮城 5階 501・502
時間
10:00-20:00(18日は15:00まで)

主催団体

東北大学

開催レポート

ID180 東北グリーン復興と生態系を基盤とした防災・減災(Eco-DRR)

東日本大震災の地震と津波により、東北の太平洋沿岸は甚大な被害を受けました。これまで「森は海の恋人」と呼ばれてきたように、海の恵みは、山、森、川、そして田んぼの営みのつながりにも支えられてきました。今回の被災地の多くはこうした生態系の恵み(生態系サービス)を最大限に利用する生活をしてきた地域です。できるだけ早い復興は共通した願いですが、環境への影響評価を行うことなく、早急に山や森を削り、川や海、そして田んぼの生物多様性や生態系への配慮のない造成は、生態系サービスを低下させて、被災地以外にも多くの二次的な災害を生み出しかねません。「海と田んぼからの復興プロジェクト」では、海や田んぼの生態系の豊かさや生物多様性を育む「グリーン復興」を行うことで、農林水産業と共に生きてきた地域がより着実に力強く復興すると信じ、生態系の回復力を助け、自然と社会が共生した復興を支えることを目指して、大学、企業、市民団体、行政など様々な団体からの参加者が意見や情報を交換しています。そしてこれまでに、生態系のモニタリング、津波被害からの田んぼの復元、浦戸諸島などでの産業復興支援、気仙沼市での持続可能な開発のための教育プログラムの実践など様々な活動を行ってきました。

生態系には、災害を緩和する機能もあります。例えば森林は土砂災害を防ぎ、海岸林は風や高潮を緩和します。このような機能を利用した防災・減災は、郷土の豊かな自然や文化を保つともに、経済的にも効率がよく復元力の高い対策であり、生態系を基盤とした防災・減災(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction、Eco-DRR)として近年着目されています。自然や生態系の恵みに依存して文化や産業が発展してきた地域には特に重要な防災減災の方法であり、東北地方に限らず、広くさまざまな地域や国で実践が可能です。ポスターでは、今後の防災・減災対策には土木技術によるインフラの利点を生かしつつも、Eco-DRRの考え方を積極的に取り入れて行くべきことを訴えました。

ID194 地殻変動のリアルタイム検知で地震警報を高度化する

本学が開発しているリアルタイム海底地殻変動観測システムの概要とそれをリアルタイム津波予測に活用する試みを防災関係者や一般市民に紹介することにより、観測技術が防災・減災に重要な役割を果たしうることを知って頂く良い機会がもてた。単にシステムの技術的な側面を紹介するだけでなく、津波が発生する仕組みを解説し、なぜ津波の波源となる沖合での海底地殻変動観測が津波予測に有効なデータを提供できるのかに焦点をあてた展示とした。津波災害の軽減のために、観測が担う重要な役割は、事前の想定・地震後の即時予測とそれに続く現状把握のための情報発信であり、特に津波遡上のシミュレーションとの連携することで、信頼性と有用性が高い津波防災情報が提供可能となることを、今後も継続してアピールしていきたい。観測基盤の整備は、国・地域ごとに異なるが、こうした発表をとおして、日本で開発・高度化がされている観測システムと運用のノウハウといった技術移転が全世界に拡がり、国際的な災害軽減の一助となることを期待する。

ID196 震災経験による社会の進化:協調社会の実現へ

本会議では、「震災経験による社会の進化:協調社会の実現へ」と題したポスター発表を行った。

ポスターでは、1.危機的状況になることで住民が相互に援助を行う互助行動が発生しやすくなること、 2.その互助行動が容易なものであるほど、実行されやすくなること、を理論的に説明した。さらに、被災住民の方から得たデータを用いて,その妥当性を検証した。また、ポスターの内容を説明したチラシを100部作成し、自由に持ち帰ってもらえるように準備した。

やや専門的な内容であったにもかかわらず、用意したチラシは全て持ち帰られていたことから、一定の関心を持ってもらえたことがうかがえた。また、一部の参加者からは「危機にならないと、人間は助け合わないという結果は、実社会を考える上で理解しやすい」との感想をいただいた。これらのことから、情報の表現を工夫することにより、一般の方にも関心を持ってもらいやすいテーマであると感じた。

今後については、復興計画の採用・実施過程を対象とした調査も行い、復興計画の立案過程の望ましい姿についても検討を進めていく予定である。

ID198 産学連携による復興教育支援事業の実施について-DUST MY BROOM PROJECTとリサイクル研究の復興支援における役割と成果-

今回のイベントでは、我々の研究室が震災後から取り組んできた活動について報告を行った。具体的には、被災車両のフィールド調査、沿岸部を中心とした被災自治体へのインタビュー調査、復興教育支援事業、そして以上の研究活動を社会へ情報発信する報告展を継続的に行った「Dust my broom project」である。「廃棄物」という生活に関わりの深い視点から震災廃棄物調査や復興教育支援事業等の震災復興の活動を行ったことは非常に特徴的であったと言えよう。結果として本発表への来場者の関心はとても高いものであった。来場者が自由に持ち帰られるよう準備したチラシは100部が全て持ち帰られた。

以上のことから、これまでの我々が行ってきた研究・活動の意義を再確認することができたとともに、社会と密接に関わる事象の研究を積極的に行う重要性、さらに研究成果を積極的に社会に情報発信することの重要性を改めて痛感した。

復興支援はインフラ整備等のハード面だけでなく、人材育成等のソフト面の継続的支援が非常に重要であると考える。今後も引き続き我々の研究成果を生かしながら復興のための研究教育、社会貢献活動を行っていきたい。

 ID301 巨大地震が海の生態系に何をしたか?-現場の経験と科学調査の連携で進める災害復興への道-

TEAMS(東北マリンサイエンス拠点形成事業)では、東日本大震災により壊滅的状態となった東北地方太平洋沿岸の漁業復興を目指して、海洋環境、海洋生態系の被災状況とその変化過程を科学的に明らかにしてきた。ポスターにはこの事業で我々がどのような調査を行い、得られた成果を漁業復興のためにどのように利用しているのかを示した。

ID304 東北メディカル・メガバンク事業 ~地域子ども長期健康調査の進捗報告~

東北大学は、東日本大震災からの復興を目的として東北メディカル・メガバンク機構を創設しました。

本機構では宮城県民の各年代の長期健康調査を実施しています。その一環として小中学生を対象に実施している「地域子ども長期健康調査事業」の平成26年度の進捗に関する経過報告を行いました。

概要としては、本調査の目的は東日本大震災後に増加が懸念される子どもの症状を調査し、必要に応じて支援を行うことです。2014年度は、6月2日から6月27日までを調査期間としてアンケート調査を実施しました。公立小学校・中学校を通じて28,159人の子どもたちにアンケートを配付し、6,451人から回答を得ました。その結果をポスター発表しました。

今後も、被災地の子どもの健康の増進のため、私たちは健康調査を継続していきたいと考えております。

ダウンロードデータ

イベント概要

国内外の諸団体がポスター展示を行う会場では、東北大学からは以下のとおり出展します。

詳細情報

ID180:
東北大学大学院生命科学研究科生態適応センター
海と田んぼからのグリーン復興プロジェクト
「東北グリーン復興と生態系を基盤とした防災・減災(Eco-DRR)」
https://sites.google.com/site/greenfukko/
E-mail:nagashima*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID193:
東北大学大学院情報科学研究科
「東日本大震災被災地における行政への信頼」
http://www.is.tohoku.ac.jp/
E-mail:kwmr3*sp.is.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID194:
東北大学災害科学国際研究所
「地殻変動のリアルタイム検知で津波警報を高度化する」
E-mail:hino*irides.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID196:
東北大学大学院国際文化研究科
「震災経験による社会の進化:協調社会の実現へ」
E-mail:shunmei*intcul.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID198:
東北大学大学院国際文化研究科
「産学連携による復興教育支援事業の実施について
-DUST MY BROOM PROJECTとリサイクル研究の復興支援における役割と成果-」
http://dust-my-broom.jp/
E-mail:jsyu*intcul.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID202:
東北大学高度教養教育・学生支援機構 課外・ボランティア活動支援センター
「学生ボランティアの取り組みから見える震災復興の現状と課題」
https://sites.google.com/site/voltohokuuniv/
E-mail:reiji.fujimuro*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID301:
東北マリンサイエンス拠点形成事業
東北大学大学院農学研究科
「巨大地震が海の生態系に何をしたか?-現場の経験と科学調査の連携で進める災害復興への道-」
http://www.agri.tohoku.ac.jp/teams/
E-mail:kkaneko*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

ID304:
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
「東北メディカル・メガバンク事業 〜地域子ども長期健康調査の進捗報告〜」
http://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/7627/
E-mail:kikuyam@med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

▲ページのトップへ