第3回国連防災会議への東北大学の取り組み | Tohoku University DRR Actions

国連防災会議

学生の活躍 ~ボランティアへの参加、企画・運営~

ボランティアへの参加

語学ボランティア

第3回国連防災世界会議期間中(2015年3月12日~19日)、仙台市により国連防災世界会議参加者の案内誘導等を行う「語学ボランティア」の募集がありました。

主に、国連防災世界会議本体会議会場(仙台国際センター等)および関連事業会場(せんだいメディアテーク等)、仙台空港、仙台駅等における案内誘導業務、ツアー等における同行、案内業務などに従事しました。

全体登録者369名中、35%を占める130名が本学の関係者で、そのうち114名が学生であったことから、本学学生の活躍が伺えます。

語学ボランティア参加者にアンケート形式で回答していただきました。

宮本 渚さん
東北大学 教育学部4年(当時)

●なぜ、第3回国連防災世界会議の語学ボランティアに参加しようと思いましたか?

大学3年生の時に1年間留学していたスウェーデンで、世界中の多くの人たちに様々な形で支えてもらったことへの恩返しをしたいと思っていたためです。また、故郷である仙台・東北の復興に、自分らしい形で貢献したいと考えていたため、参加しました。

●国連防災世界会議を間近に感じ、どのような感想をもちましたか?

世界中から訪れてくださった会議の参加者の方々だけでなく、展示会などには市民の皆さんも多くいらっしゃったことが印象的でした。震災から時間が経ち日常生活の中で当時を思い返すことが減った方でも、今回のような会議が行われることで、震災を改めて見つめ直す機会が得られたのではないかと思います。

●語学ボランティアに参加してみて、一番苦労したのはどんなことですか?

語学的な面では、伝わりにくい部分は身振り手振りや図示も交えてお話しができたので問題はありませんでしたが、体力的な面で苦労しました。仙台駅で活動をした際は、気温の低い中で一日中立ったまま周囲に目を配り対応をする必要があったため、持ち場の交代頻度を上げるなどして集中力を切らさないようにしていました。

●ボランティアに参加してみて、何か成長や気付きはありましたか?

スウェーデンから帰国して1年半ほど経ち、日常で英語を使う頻度も減ってきていた中での参加となりましたが、英語を用いてコミュニケーションを広げていく楽しさを改めて感じることができました。また海外の方々はどんな場面でも、会話の最後に相手の目を見て笑顔で挨拶やお礼を言う方がとても多いです。私自身が見習っていきたい点のひとつとなりました。

●この体験を今後にどう生かしたいですか?

英語を使う機会は、ただ待っているだけではなかなか得られません。また私は学生時代、様々なボランティアに携わっていましたが、社会人になってからはそれも難しくなってきました。しかし今回の活動のように、自ら動いて初めて得られる経験や繋がりは数多くあると思います。自分のやりたいことや周りの環境に敏感になり、能動的に動いていく意識を忘れないようにしたいと思っています。

運営支援ボランティア
〈第3回国連防災世界会議 テクニカル・サポート・プロジェクト〉

第3回国連防災世界会議期間中(2015年3月12日~18日)、本体会議が行われた仙台国際センターや仙台市博物館において、本学の学生が国連防災戦略事務局を支援しました。

同会議の報道内容の収集、ホームページによる情報発信の補助、会場案内、ポスター説明ブースにおける説明補助、障がい者の補助等の業務において活躍しました。

活動場所:仙台国際センター、仙台市博物館
参加人数:54名

運営ボランティア参加者にアンケート形式で回答していただきました。

牧野嶋文泰さん
東北大学大学院 工学研究科
土木工学専攻 修士1年(当時)、
グローバル安全学トップリーダー
育成プログラム2期生(当時)

●どのような経緯で第3回国連防災世界会議 テクニカル・サポート・プロジェクトに参加されましたか?

私は2014年から東北大学大学院に入学しました。志望した津波工学研究室が国際的な津波防災に貢献する活動を多く行っていたためです。もともと防災先進国と呼ばれる日本が防災の面で、どうやって世界に貢献できるのかといった興味を持っていたところに今回のお話があり、参加させて頂きました。

●国連防災世界会議を間近に感じ、どのような感想をもちましたか?

防災は災害の直後には注目され、その重要性が再確認されますが、普段は忘れられがちなイメージがあります。そんな防災の重要性を全世界から集まった人々が、東北で再確認し、同じ目標に向かって議論する様子を見て感動しました。同時に、状況の異なる国々が合意に至る困難さや、それを支援するやりがいを感じました。

●プロジェクトに参加してみて、一番苦労したのはどんなことですか?

私の防災会議中の仕事は、UNブースのセッティングと運営、各UN機関とUNISDR職員の方の取り次ぎや会場セッティングでした。これらは主に英語で対応可能でしたが、UNブースには英語を話せない方もいたため、その際の対応に大変苦労しました。もしフランス語を話すことができたら、ほぼ全ての方に対応できたように思います。

●プロジェクトに参加してみて、何か成長や気付きはありましたか?

防災先進国としての日本を、身をもって実感することができました。任務中に、「私達の国では自然災害による被害の増加が問題になっているが、それを解決する手段を知らない。だから今回は東北まで勉強をしに来た」と仰る方がいました。日本に対する期待の大きさを実感し、自分が勉強していることの意義や重要性を再確認できました。

●この体験を今後にどう生かしたいですか?

私は今後、博士後期課程に進学し、現在行っている津波避難に関する研究を継続したいと考えています。現在の研究対象地域は東北被災地ですが、国連防災会議の参加で得たグローバルな視点を持って、研究内容・成果が日本だけでなく、世界での防災にどのように貢献できるのかを意識して研究を進めたいです。

企画・運営

チルドレン&ユース・フォーラム

国連の公式関連行事である「チルドレン&ユース・フォーラム」が会期前の2015年3月11日から会期後18日まで、東北大学川内キャンパスに於いて行われました。本学の学生は日本事務局の共同代表として参加しました。

この行事では、世界35カ国以上の若者や子ども約200人が出席し、未来の「防災」をテーマに8日間に渡って議論が行われました。また、国連の潘基文事務総長とのセッション(分科会)も行われました。


写真提供:Children & Youth Forum Organizing Committee


写真提供:Children & Youth Forum Organizing Committee

チルドレン&ユース・フォーラム参加者にアンケート形式で回答していただきました。

鈴木さちさん
東北大学大学院 工学研究科
都市・建築学専攻 博士課程
後期1年(当時)

●どういう経緯で、またどのような立場で本イベントに参加したのですか?

チルドレン&ユース・フォーラム日本事務局の共同代表を務めました。本フォーラムは、防災会議公式イベントの1つとして位置付けられた子ども・若者のためのフォーラムで、1週間のワークショップ形式で行われました。私は、仙台をベースに活動出来て、かつ防災に関する国際的な取り組みへの関心も高いということから事務局立ち上げの際に、元UNISDR職員で現在は本学災害科学国際研究所の教授である小野裕一先生に声をかけて頂きました。

●国連防災世界会議を間近に感じ、どのような感想をもちましたか?

大規模な会議というのは、前後に何をするかが重要だと感じました。国同士の会議でも事前の交渉や事後の細かい指標の設定が前後1年くらいかけて行われています。ユース・フォーラムにおいても事前の運営メンバーの結束と事後の参加者へのフォローアップが重要だと感じます。

●本イベントに参加してみて、一番苦労したのはどんなことですか?

世界中のユースとの協働による企画・準備です。若者主体で企画・運営を行うイベントを公式プログラムに組み込むというのは国連にとっても初めての試みとの事でした。半年間で資金集めから実施まで行うというかなり厳しいスケジュールでした。約50人の運営メンバーで、skypeミーティング、グーグルドキュメント等のオンラインツールを駆使しました。

●本イベントに参加してみて、何か成長や気付きはありましたか?

世界の、特にアジアのユースの防災に対する関心の高さに驚きました。先進国以外では、災害時に若者や子どもが被害を受けやすく、守るべき存在と捉えられる場合が多くあります。その認識を覆す勢いで、子どもやユースたちは高い使命感で積極的に防災に取り組んでいるようです。

●この体験を今後にどう生かしたいですか?

日本では防災に関わる若者のプラットフォームがまだまだ未整備な状況です。今回様々な分野で活躍するユースに集まってもらい日本若者防災宣言を作成しました。実行のためにも、今後はユースが繋がり、発信できる場を作る事が出来ればと思います。

●その他、感じたこと

ユースは自ら考えたことを行動に起こすことができ、その上他の世代との間をつなぐハブとなれると感じました。自らが出来る小さなアクションを通じて他の世代にも影響を与え、大きな意思決定にも関わっていく可能性と能力は大いにあると思います。参加者200人が自らの場所に戻った後の行動が重要だと感じます。

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